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文楽を観てきました!

「文楽」を鑑賞してきました。私にとっては、はじめての体験でしたし、文楽についての見識は何も持っていないのですが・・・とにかく面白かったです!

今回私が観たのは「天網島時雨炬燵」という演目。愛し合う男女が様々な世事上や人間関係に翻弄されながら、義理を立て、道理を通そうとするうちに、結局は心中へ至ってしまう悲劇の物語です。観始めのうちはどうも調子がつかめず、義太夫節の台詞も聞き取りにくくて、舞台の袖に表示される字幕(?)についつい目が行ってしまって、作品世界になかなか入っていけませんでした。でもしばらく観てるうちに独特な語りの調子も耳に馴染んで来て、繊細で優雅な人形の動きにすっかり見入ってしまうのでした。ストーリーの細かいところとかはわからないままのところも多かったですが、そんなことは文楽の世界を鑑賞するのにさほど大事なことではないようです。ニ転三転していくストーリー展開の面白さ、激しい情念のこもった言葉の力強さに、ただただ魅了され、圧倒されっぱなしでした。

この「天網島時雨の炬燵」は、女同士の「義理」の悲劇を描いた作品ということで、人形の操り方に派手な動きは少なくて、それよりも何気ない身のこなしや、感情の機微を巧みに表現した細やかな演技に見所がある印象でした。登場人物達の台詞の掛け合いが、三味線の音色・リズムと一体となって、次第にドラマとしての高まりを見せていく演出も見事でした。観終わってしばらく経った今も、台詞の心地よい感触が頭を離れません。「あんた、そりゃあんまり情ないわいな」「それで道理は立つかいの」ってな感じの、「〜わいな」「〜かいの」という丸みのある言葉の感触が、もうすっかり気に入ってしまいました。あらためて感じた、美しい日本語の世界。そして濃厚な情のこもった世界。こういうものって、忘れちゃいけないですね。

で、実は今回一緒に観に行った友人の一人が、演者に知り合いがいるということで、なんと幕間の時間に楽屋へ遊びに行かせていただいたのです。短い時間でしたが、人形を間近で見せていただいて、舞台裏も覗かせていただいて、もう、大興奮で感激しまくりでした(笑)。興奮し過ぎであまりちゃんと撮れなかったのですが、その時撮影させていただいた写真をいくつかアップしてみます。

 

美しい人形達をこんなに間近で見ることができました。実際に目の前で動かし方を教えていただいたり。貴重なお話をたくさん聞かせていただきました〜。

これは“舞台下駄”。一体の人形に三人の遣い手がつくのですが、手足でそれぞれ違う位置から操作をするために、このような高さを調整する下駄を履くのだそうです。役者さん達一人一人が自分の下駄を持っていて、舞台と役に合わせて選んで履くのだそうです。さすがにすごく使い込んであって、いい味を醸し出してます。これを間近で見れたのも感動ものでした。
文楽、本当に面白かったです。またぜひ観に行きたいです。