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ネズの木

友人からプロジェクターを譲ってもらった。かなり旧式のものなので機体が大きくて重量もあるので、昨日わざわざレンタカーを借りて引き取りに行ってきた。さっそくスクリーンを設置して音源をアンプとスピーカーに繋いでみたら、ちょっとしたホームシアターに早変わり! なんだかとてもわくわくして、すぐに上映会をやってみたくなった(といっても一人でなんだけど)。

まず何を観ようかさんざん悩んだ末、DVDを買ったまままだ観ていなかった、『ネズの木』という映画を選んだ。1986年、アイスランドの映画。監督はニーツチェカ・キーン。二十歳の時のビョークが出ている幻の作品として、2年前にロードショー公開されて話題になった。
私としてはビョークが主演しているということより、「〈グリム童話〉本来の形---残酷性、エロティシズム、理不尽な悲劇、といった要素を忠実に再現した作品」として評価を受けていたことに関心があった。観よう観ようと思いながら、忘れてしまっていたこの映画。期待外れにならないか心配だったのだけど、びっくりするくらい素晴らしい作品だった。背筋がゾッとするような残酷なモチーフを散りばめたストーリー、全編モノクロームの美しい映像、そして何より音楽が素晴らしかった。何とも形容しがたいビョークの特殊な存在感も際立っていた。

私の大好きな映画の一つ、メレディス・モンクの『Book of Days』の世界観にちょっと重なるものがあった。西欧中世の村をイメージした殺伐とした風景が、何故かしら、いつも私の心をゆさぶる。こういう映画をずっと観たいと思っていた。大満足。